ドイツワインについて 分類と等級

ワイン

こんにちはSAKUです。

 

「ドイツワインって甘いんでしょ?」これは日本の友人たちからよくきかれることなのですが、確かにドイツワインは甘口の白のイメージが定着していると思います。それは辛口の良質なワインが国内で消費されてきたこと、最大の輸出国であるアメリカが甘口を好んだことが原因と言われています。しかしながら市場の辛口指向や若手醸造家たちへの世代交代なども相まって近年ドイツワインに新たな風が吹いています。

今回はドイツワインの分類や等級分け、どういった品種が使われているのかを書いていきたいと思います。

ドイツワインには大きく分けて4つの分類があります。

分類と等級

ターフェルヴァインTafelwein

原産地表記をしなくてもいいワイン。料理酒などに使われます。

ラントヴァインLandwein

指定地域でとれたブドウを85%以上使用したワイン。安価な宅飲みワインとして飲まれています。

クヴァリテーツヴァイン=ベシュティムター=アンバウゲビートQualitätswein bestimmter Anbaugebiet:QbA

特定の13の生産地のうちで一か所の生産地のブドウのみを使ってつくられたワイン。既定の糖度を超えていることも基準の一つでアルコール度数を上げるために補糖が認められています

 

プレディカーツヴァインPrädikatswein:QmP

ドイツワインの分類に置いて最高位に分類される「肩書の付いたワイン」です。発酵前に補糖の必要がない(認められていません)ブドウのみが使用され、糖度(厳密には使用品種などの細かい条件があるようです)によって6等級に分かれます。この等級はワインの質や生産地の質を可視化できるようにしたもので、ワイン選びの参考になります。では、糖度の低い順に簡単に説明していきます。

 

1.カビネットKabinett

QmPの中では最も辛口。生産者の趣向が一番よくわかるともいわれるクラスです。値段も手ごろで料理に合わせやすいです。

 

2.シュペートレーゼSpäatlese

「遅摘み」という意味で、収穫日を一週間ほど遅らせてブドウを熟させます。糖度が上がりますが必ずしも甘口に仕上がるというわけではありません

 

3.アウスレーゼAuslese

熟したブドウの房を選りすぐって使用したワインで条件を満たしていれば遅摘みする必要はありません。甘口がほとんどで料理と合わせるよりは、ワインをメインで楽しむ人向けです。

 

4.べーレンアウスレーゼBeerenauslese

さらに熟したブドウを粒単位で選りすぐります。このクラスからコクのある甘さがグッと主張してきます。高級ワインであり、その甘味から食事に合わせるというよりは食後のデザートワインとして味わうことが多いワインです。

 

5.アイスヴァインEiswein

11月から1月まで収穫時期を遅らせ、自然凍結した状態でつくられるため非常に濃縮されたワインが生産することができます。ただ、ブドウが腐ってしますリスクがあるのであまりつくられていないのが現状のようです。貴腐のような香りはなく、スッキリした超甘口。ドイツとカナダのイメージが強いですが、オーストリアとルクセンブルクでも少量ながら生産しています。私も機会があれば飲み比べてみたいです!

 

6.トロッケンベーレンアウスレーゼTrockenbeerenauslese

いわゆる貴腐ワインと呼ばれるワインですが、稀に貴腐化していなくても条件を満たすものもある。貴腐化の香りと黄金色と表現されるほどに濃い色合いそして芳醇な味はで世界最高峰のデザートワインの一種です。

クラッシックclassicとセレクションselection

2000年に導入されたエチケット表記ですが浸透しなかったので見かけることはあまりありません。話のネタ程度に知っておいて損はない情報です。

クラッシック

  • 高いこだわりを持って敢えて中価格帯ワインのための肩書
  • ブドウの栽培において標準以上のこだわりをもって取り組んでいること
  • その土地独特のブドウ品種を使用していること
  • 近代的でブドウへのストレスの少ない手法を用いて醸造していること
  • 低温発酵していること
  • 一貫した品質管理を行っていること

セレクション

  • 高級ワインに対してつける肩書
  • 単一の畑から収穫されたブドウのみで造られている
  • 定められたブドウ品種のみを使用
  • 1ヘクタール当たり6000ℓ以下の収量制限を守っていること
  • 収穫時のブドウの糖度が最低90エクスレ(1ℓの中に90g以上の糖が入っている状態)以上であること
  • ブドウの明確な管理と品質を維持

つまるところ、クラッシックが上質な中級ワイン、セレクションがその上位互換であるということです。

上記までがドイツのワイン法が定める等級分けになります。そしてそれとは別にワイン法をさらに厳格化して畑ごとに格付けをして新たに等級を作り出した団体があります。それがVDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)」です。

VDPの等級とルール

VDPのワインには鷲とブドウのロゴがキャップについています。

VDPのワインには鷲とブドウのロゴがキャップについています。

鷲のマークで知られる「VDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)」はドイツワインの生産者協会であって公的機関ではありません。しかしながら200以上のワイナリーが所属しており、収量制限や有機農法などの厳格なルールを定め従来のワイン法に基づいて独自の格付けを定めています。ドイツのワインの総生産量の5パーセント以下ですが認知度はかなり高いです。VDPの格付けは畑に対して行われ(ブルゴーニュみたいですね)、4等級に分けられます。

 VDP.GROSSE LAGE (グロース ラーゲ)

いわゆるフランスのグラン・クリュのような特級畑とされる畑で栽培されたブドウでつくられたワインです。エチケットに畑名が表記されます。ワインが辛口の場合のみVDP.GROSSES GEWÄCHS(GG)の表記が許されます。

 

VDP.ERSTE LAGE(エアステ ラーゲ)

こちらはプルミエ・クリュのような一級畑で栽培されたブドウでつくられたワインです。こちらも畑名が表記されます。たまにP.C.(プレミエ・クリュ)と表記するワイナリーもあります。

VDP.ORTSWEIN(オルツヴァイン)

収量の制限がされている畑で栽培されたブドウでつくられたワインです。地区名や村の名前が表記されます。

 

VDP.GUTSWEIN(グーツヴァイン)

所属ワイナリーの畑で栽培されたブドウでつくられたワインです。追加表記はありません。

 

上にいくほど収量の制限が厳しくなるので生産量も減っていきます。 そして辛口ワインについてはすべてがQmPの等級をラベルに表記しないことをルールとして求めています。その結果、甘口ワインと思ってシュペートレーゼのワインを買ったら辛口だったといったことがおきなくなるということが言えます。 従来の等級と合わせて知っておくことでワインを選びやすくなるんじゃないかなと思います。

エチケットの読み方

年代 古いワインがすべて美味しいわけではないので、早飲みタイプの物などは年代に気を付けたいですね。

生産地 生産地(土壌など)によって個性が出てくるので自分の味覚に合ったワインを見つける目安になります。

品種 根本的なブドウの味は変える事ができないので味の個性が出るポイントだと思います。また、早飲みタイプか熟成タイプかの判断もおおまかですができます。

醸造所 同じ生産地、同じブドウでも醸造所によって仕上げ方が異なるので同じクラスのワインを飲み比べて好きな醸造所を見つけるのも楽しいです。

等級 QmPの分類で触れたところです。味のバランスの目安になります

味の表記 ワイン法においては甘い順にズースsüßリープリッヒ lieblichハルプトロッケン halbtrockenトロッケンtrocken と表記されます。ただし表記義務はなく、ワイナリーの方たちが自分たちの感性でこれら以外の表記をすることができるのです!!ミルドmild やファインハルプfeinhalbがよく見かけます。

白ブドウ品種

 

  • リースリング Riesling  ドイツワインといえばリースリング!!と言えるくらいドイツワイン産業を支えている品種です。切れ味のある酸味があり、熟すと濃厚な甘みを出します。そのため定番の甘口のみではなく近年流行している辛口のワインもつくることができます。20年以上の長期熟成に耐えることのできる品種でもあります。
  • ミュラー=トゥルガウ Müller Thurgau 軽くフレッシュなワインがつくられます。長期熟成には向いておらず、早飲みタイプのワインが主流です。
  • ジルヴァ―ナ Silvaner 力強い辛口ワインが主につくられます。料理と合わせることが多く、特に白アスパラガスと合わせることで知られています。特にフランケン地方のワインは「男のワイン」といわれるくらいのキレと力強さがあります。
  • グラウブルグンダー Grauer Brugunder 糖度の高いブドウで、シュペートレーゼやアウスレーゼに適すると言われていますが、やや辛口の飲みやすいワインが主流です。甘口だと別名であるルーレンダーRuläanderで表記されます。
  • ヴァイスブルグンダー Weißer Burgunder 酸味と香りが強く辛口で夏向きのさわやかなワインがつくられます。
  • ケルナー Kerner マスカット風味のフルーティーなワインがつくられます。酸味が強くなく、重みのある感じで仕上げてあることが多いです。個人的には結構好きです。

黒ブドウ品種

  • シュペートブルグンダー Spätburgunder 日本ではピノ・ノワールとして知られています。特定生産地であるアールやバーデン主につくられています。長い間ドイツのピノ・ノワールは薄くてロゼのようだと揶揄されてきましたが、近年では濃厚な赤ワインが作られるようになってきました。薄い赤というイメージにコンプレックスを抱いている醸造家はまだ多いそうです。
  • ドルンフェルダー Dornfelder もともとワインの色付け目的で交配された品種で実も赤いのが特徴です。そのため色は濃いです。ですが、色のわりに渋みが少なく柔らかな味でとても飲みやすいです。クリスマスマーケットの温かいグリューヴァインなどにも好んで使われます。栽培栽培面積はシュペートブルグンダーに負けてはいますがドイツを代表する黒ブドウ品種です。
  • ポルトゥギーザ― Portugieser  渋みが少なく収穫後の春から飲める早熟ワイン向けの品種です。宅飲み用に作られることがほとんどで、高級なワインがつくられることはめってにないです。
  • トロリンガー Trollinger こちらも早熟タイプで、ポルトゥギーザーよりは質がよくQbAのワインがよくつくられます。
  • シュバルツリースリング Schwarzriesling 明るい色、軽めのやや辛口のワインが作られる。近年では白ワインもつくられています。フランスではシャンパン用ブドウとして使われています。
今回はドイツワインの分類と等級、主に使われている品種について書きました。ドイツワインは本当においしいので是非一度試してみてください!!
以上SAKUでした!!
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